「『最後に』って言わないで!」 <|HOME|>「目が点になった」

「辞めたくなったことないの?」

S先生は初め、
「手術は乳腺専門医のZ先生にお願いすることになるけど、俺も補助者として入らせてもらう」
と言ってくれていた。

ところが、事務的な手続きの行き違いがあり、S先生が不在の期間に私の入院が決まってしまった。
「痛恨のミスやなぁ……」
って言うS先生に、何をどう答えたらいいのか、わからなかった。

「M先生に、ちゃんと話ししとくから」
「M先生がいてくれるんやったら、頑張れる……と、思います」

M先生には、2013年3月に会っている。私がT先生やK先生を不安にさせていた時期だ。
頻脈と息切れが半年ほど続き、疲れきってしまった私は、近所の開業医の先生から
「循環器の手術が受けられる病院、今行っている範囲でないかなぁ? できたら診てもらわれへんかなぁ?」
と言われたことをきっかけに、強引にM先生に会いに行ったのだ。

でも実際にM先生に会うと、
「(昨年の)9月からしんどかった」
という言葉しか発することができず、あとは泣くばかりになって、本当に申し訳なかった。

この出来事の1年ほど前、M先生と話す機会があった。
久しぶりに会ったというのに、
「M先生は、仕事辞めたくなったことないの?」
と聞いて、面食らわせた。
「どうしたんよ? なんかあったんか?」
「うん、ちょっと」
「あのな、言いたいことを腹に溜めんことや。ていうか、溜めてる俺が、偉そうなこと言われへんけど」
「溜めてるんですか?」
「うん。別に『どんな風に話ししよう?』って考えてから言わんでいいし、『言うからには解決しよう』とか思わんでもいいねん。ただ、『こんなことあってん。腹立つわぁ』とか、口に出すようにしたほうがえぇと思うねん」

「口に出す」ってことを、うまくできなかったから、3月に迷惑をかけることになったのだ。
M先生ごめんなさい。そして、ありがとう。

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