「慕ってはいるけど、愛してはいない(笑)!」<|HOME|>「『最後に』って言わないで!」

約束

S先生が今いる病院に移られたのは、2013年4月。同じ病院にはM先生もいる。
「じゃあ、私も移るよ」ってS先生に約束をした。

でも、私はその約束を破ろうとしたことがある。
ある事情で精神的に追い詰められていた私は、婦人科のT先生に言った。
「私が行けば、S先生は私に構わざるを得なくなる。でも、私が行かなかったら、S先生は私のことを忘れはるやろうし、そのほうがいいと思う」

T先生はその日、声を荒げることもなく、
「ふゆうさん自身のために、必要な医療を受けないといけないし、そのためには『S先生とM先生、二人ともいてはる病院がいい』ってことになったんやろ? S先生は『来る』と思ってはるんやろ? 黙って行けへんようになったら、どう思うかな?」
「僕もな、ふゆうさんを通して、S先生やM先生の話、聞きたいし」
って、静かに諭してくださった。

このときの私の発言は、S先生だけではなく、T先生にも非常に申し訳ないものだった。
次の診察のとき、T先生は
「俺、どんだけ不安やったか!!」
って、怒っていた。
「S先生とM先生とが診てくれてはるから、僕は婦人科のことを診てられたやん?」
「はい」
「最近はもうなくなったけど『腹痛がする』とか『吐き気がする』とかって、注射とか必要になったことがあったやろ?」
「はい」
「そういう時に、『なんで痛いんか』ってことが、僕一人では診きられへんから。だからS先生が他の病院へ行くっていうのも、僕は不安やったし」
「はい」
「ふゆうさんが、だんだん元気なくなっていったけど、僕だけでは聞けないことも、S先生やったら聞けるかもしれへんやん。だからな、『頼むからS先生のとこへは行ってくれ』って、どんだけ思ったか!」
「すみません」
「僕としては、S先生と僕と車の両輪やと思ってたんやわ。その片方をいきなり外されたような気持ちやねん、正直言って」
「ごめんなさい」
「諸事情あったのはわかるけど、落ち着き次第、行ったほうがいいよ」

そして、約束通りS先生に会いに行った。
いきなり「手術するか?」って話になるとは思ってもいなかったけれど。

S先生のもとに入院するまで、ハント症候群になり、脳のMRIも撮ったし、循環器の先生にも診て頂くことになった。今思えば大変な日々だったけれど、
「入院までに、他の問題をできるだけ解決する」
というS先生との約束があったから、色々なことを乗り越えられたように思う。

▲このページのトップへ戻る

「慕ってはいるけど、愛してはいない(笑)!」<|HOME|>「『最後に』って言わないで!」

inserted by FC2 system