部長回診の直前 <|HOME|> 「これが私の人生です」

部長回診本番

Z先生にお会いする前、S先生に聞いた。
「Z先生って、どんな先生?」
「大きくて、かわいい先生」
「M先生みたい?」
「いや、Mとはちょっとタイプ違うな」

入院し、看護師さんにその話をしたとき、
「ここの外科の先生、みんな大きいんですよ。M先生は別格として、Z先生もやし、S先生もわりと大きいし、部長先生も背が高いし……」
って話してくれはった。

部長回診で初めてお会いした部長先生は、Z先生ほどではないけれど、大きい先生だった。
Z先生
「○○の検査を……」
というたびに
「ネガティブやった?」
「ネガティブやった?」
って尋ねる部長先生は、患者のことを思ってくれてはるんやなと感じた。
そのうち、S先生が部屋に来て、Z先生が診てくださる以前の経過を、部長先生に話してくれはった。

やがて部長先生が他の患者さんのもとへ行きはって、S先生M先生が話しかけてくれはった。
「退院なん?」
「いえ、まだ聞いてないけど、(この瞬間、Z先生は何か言いたそうにされた)、でもM先生は早く帰って欲しい……」
「フォッフォッフォッフォッ。俺、フォッフォッフォッ……そんなこと言ってないぞ(笑)」
「言ったとは言っていない(笑)」
「あ・の・と・き・は! 休まれへんかって、疲れとったの! だから、そっけなかったの! そんなん思ってないから、心配すんな」
S先生Z先生は下を向いて笑ってはった。

部長回診の後、Z先生が改めて来てくださった。外来もあって、忙しかったと思うのに。
「退院、いつにする?」
「いつ……、Z先生はいつがいいですか?」
「僕はいつでも(笑)、今日は無理やけど、明日でも、明後日でも」
「じゃあ、明日に」
「わかりました」

「その後って、外来とか……」
「1回は、僕の外来に来てほしいねん。傷の具合を診たいから。そのあとは、S先生にお願いしようかなと思ってる」
「それは、寂しいです」
「え(驚愕)!? なんで?」
「だって、Z先生、ステキやなって……」
「ふふふふふ(笑)」
「ふふふふふ(笑)」

この後、Z先生にお礼の手紙を書いた。
手術室でZ先生を見つけた時の安心感。「海の日」の夕方に会えた時の嬉しさ。Z先生の笑い方がとっても気持ちよかったこと。
書きたいことが溢れてきて、止まらなくなったけれど、忙しいZ先生の時間を、手紙を読むために割いてもらうのが申し訳ない気がして、なんとか手紙を終わらせた。

昼ごはん。温かいコーンスープをいただくと、幸せな気持ちになるね。

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