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退院

退院の日の朝ごはん。目玉焼きにケチャップをかけて食べたことはないので、ワクワクした。

S先生がベッドのそばまで来てくださった。
「おはよう!」
「あぁ、S先生、おはようぅう!」
「退院なんやって? 良かったな」
「はい。お世話になりました」
「Mは今日から学会でな」
「うん、昨日、夕方に会ったんですよ。M先生、連休もずっと来てはったし、椅子に座るときに『ふぃ〜』って言ってはった。M先生は、大丈夫って言ってはったけど、手とかめっちゃ熱くなってるし。無理してはるんちゃうんですか?」
「うん、してるやろな」
「あの、Z先生は素敵な先生やった」
「うん。だから言ったやろ? 『かわいい』って」
「かわいい」
ってそういう意味やったんや。。。

同室の患者さんと、別れを惜しみながら話しているうちに、退院の時刻が近づき、Z先生が来て下さった。
「先生、愛の手紙を書きましたので受け取ってください」
「愛の手紙。ありがとう。後で読ませてもらうね。傷口は……いい感じですね。あのね、傷そのものはこれからも綺麗になっていくと思うんですわ。ただ、(傷を留めてある)ボンドが、ちょっと汚れて来るかもしれへん。でも、大丈夫ですから。また外来、来てね」
「ありがとうござました」

父に迎えに来てもらい、支払いを済ませて帰宅する。

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