「受け取ったでぇ」 <|HOME|> 必要な環境

イケメン

術後3日目は、土曜日だった。
温かいパンが美味しい。ジャムとマーガリンと、ドレッシングももらえる。

M先生が来られていて、ずいぶん疲れている様子だった。

私が、エレベーターの前あたりで本を読んでいたら、M先生が声をかけてくれた。
「もう帰れるんちゃうん?」
「あ、はよ帰って欲しいんや(笑)?」
「いや、暇やろなぁと思って」
「勉強してるから、大丈夫やねん」
「そうか。頑張ってな」

「あ、新しいイケメン見つけた!」
「どこで見つけんねん(呆)」
ガラケーの待ち受け画面を見せる。
「……ホストみたい」
「ホストの役をしてるときの写真やねん」
「役?」
「俳優の人やねん」
「まぁ、イケメン好きが幸せなら、別にえぇけどな(笑)」
「ぐはっ!」

「そうや。火曜日って、まだ居てるか?」
「火曜日?」
「うん。S先生が帰ってくるの、火曜日やねん。聞いてない?」
「S先生からは、それ聞いたんですよ。まだZ先生から、いつ退院とは言われてないけど、もともと手術後1週間やから、部長回診の日に会えるかなって、S先生は言ってはった」
「そうか」

「先生、休まれへんの?」
「うん、ちょっとな。重症の患者さんおるからな」
「目の下、真っ黒になってるし、大丈夫なん?」
「大丈夫、大丈夫。これはもとの色や(笑)」

「今も、S先生と愛し合ってるやろ?」
「……ふっ……ふっ……まぁ、ゆっくり休んでいき」

M先生は、連休もろくに休めず、私のような変なのに絡まれて、本当に大変だったと思う。
私にとってM先生は最高のイケメンだ。

この日の昼ごはんは、けっこう迫力のある量だった。
丼の上にのっている卵がふわっとしていて嬉しかった。

夜ごはんの焼売には、しょうゆと辛子がついていた。


▲このページのトップへ戻る

「受け取ったでぇ」 <|HOME|> 必要な環境

inserted by FC2 system