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顔面神経麻痺(ハント症候群)になった話
目次
【0】はじめに【1】顔面神経麻痺の始まり
【1−1】顔に水疱ができる
【1−2】うがいができない
【1−3】 徐々に進む症状
【1−4】発音できない音の不思議
【1−5】K先生の診察
【1−6】脳には異常なし
【2】治癒するまで
【2−0】食べ方の工夫
【2−1】 私を何に活かすつもりで
【2−2】 美容院へ
【2−3】今後の予定と私の思い
【2−4】27日の笑顔
【2−5】28日の笑顔
【2−6】顏が「在る」ということ&29日の笑顔
【2−7】人と一緒の食事について&30日の笑顔
【2−8】覚めたい夢&31日の笑顔
【2−9】口の中の変化&1日の笑顔
【2−10】豪快に水浴びでも&2日の笑顔
【2−11】手当て&3日の笑顔
【2−12】服薬が終わってから
【番外】 よもやま話
【番外−1】杜仲茶だったことを
【番外−2】写真の撮り方
【番外−3】よろしければ「50音ボード」をお使いください
【番外−4】他サイトの情報との相互補完関係について
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はじめに
2013年5月中旬、ハント症候群にかかりました。ハント症候群の症状には、主に次の3つのものがあります。ただし、この3つが出現する時期はバラバラのこともありますし、3つの症状が揃わないこともあります。
1)耳介、外耳道及びその周辺、もしくは軟口蓋の疼痛と帯状疱疹
2)難聴、耳鳴、めまい
3)顔面神経麻痺
下の写真、私はほぼ左右対称に笑っていますよね。
この写真を撮ってもらったのは、2013年5月13日。何の心配もせず、左右対称に思いっきり笑っている顔を、写真に残せてよかったと思います。
ハント症候群は初期から積極的な治療を受けることが大事で、入院加療となることも珍しくないそうです。しかし、私の症状は比較的軽症であったことから、外来での治療となりました。
また、身近に顔面神経麻痺(ベル麻痺)の方がいたため、少しは知識があったことが、私自身の不安を軽減してくれました。
しかし、まったく知識がない方が、いきなり顔面神経麻痺にかかり、顔が動かなくなったら、そのご不安は想像を絶するものでしょう。少しでもお役にたてますよう、私の経験を書き残しておくことにします。
※この文章はただの素人が書いたものです。
医学的な面で曖昧な記述があったり、間違っていたりするかもしれません。
実際に治療をして下さっている医師の診断・治療方針をまずは信じて下さい。
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【1】顔面神経麻痺の始まり
【1−1】顔に水疱ができる
2013年5月13日の朝、顔を洗おうとしたときです。
ふと顔を触ると「べちゃ」という感覚とともに、手に水がつきます。まだ水を触っていませんので驚きます。
私はもともと、右の目の上から額にかけて、そして右手の指に単純ヘルペスができたことがあります。「べちゃ」という感覚は、自分で気付かずに水疱を潰してしまったときのもので、こちらもなじみ深いものです。
しかし今回は、今までと違う位置に水疱ができていたため、どこに水疱ができているのかわからず、何度も鏡を見て探し出しました。
下記の写真(上記の再掲です)をよく見ると、右(写真に向かって左)の小鼻のところが、少し赤くなっているように見えますよね?
この部位に水疱が3つほどできていたためです。
この程度なら、いつもは抗ヘルペス剤の入ったクリームを塗って様子を見ます。今回の水疱に気付いたときも、初めのうちは「おうの〜う、くれいじぃ」と、歌うように独り言を発する余裕すらあったのです。
しかし、水疱に気付いた日の夕方には、痛みの程度がとても強くなりました。小鼻だけではなく、口の中や目の奥に向けて、痛みが響き始めます。「ズキン、ズキン」と水疱の部分が痛み、そのリズムに合わせて、反射的に涙が浮かんでくるようにもなります。ボルタレンSRは飲んでみたのですが、痛みが十分には治まりません。
またこの頃、乳腺外科で手術を受ける予定が固まりつつありました。
(この件については「乳腺外科で手術を受けた話」にまとめました)
「入院までに、ややこしいことは治しておこう」
と思い、顏の痛みが強くなったその日のうちに、かかりつけの皮膚科医院でバルトレックスを処方して頂きました。
このことが、結果的には良かったのです。
なお、皮膚科医院の先生は、
「単純ヘルペスと診て治療を始めたが、経過や痛みの程度を考えると、水痘・帯状疱疹ウイルスによるものかもしれない」
と後におっしゃって、バルトレックスの量を調整してくださいました。
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【1-2】うがいができない
5月16日、午前中には循環器内科のP先生に診察をしていただきました。その時には、まったく違和感なく会話をしており、当然ながら顔面神経麻痺の「が」の字も、話題には上っていません。
同じ日の夜のこと。
バルトレックスを飲みながら、過労にならないよう過ごして3日が経っていました。
うがいをしようと水を飲んだら、口を通り越して、水がどんどん首、胸、肩と流れていきました。
この時点では口の側の問題だとは思わず、「手元が狂ったのだ」と考えました。
でも、次には慎重に口に含んだ水が、唇の隙間からあふれてしまうのです。
私の身近には、顔面神経麻痺(ベル麻痺)の方がいらっしゃいました。
その方たちは私よりずっと麻痺の程度がひどく、目が閉じられなかったり、容貌も変わってしまうほどのものでした。
一方、私の麻痺は口の周りが中心で、目の周りは比較的よく動いていたので「今、起こっていることは、顔面神経の麻痺なんだ」という考えに、なかなか結び付きませんでした。
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【1-3】徐々に進む症状
ハント症候群は、少し時間をかけて症状が進むことがあり、そしてまた時間をかけて症状が消えていくのだそうです。
私の場合も少しずつ、
●お湯で顔を洗っても、右だけ何も感じない
●食べ物をこぼしてしまう
●ろれつが回らない(耳鼻科のK先生に「片言の外国人みたいになってる」と評されました)
●難聴、耳鳴り、体のふらつき
●左右対称の表情が作れない
●口を開けようとしたり、すぼめようとしたりすると、顎ががくがく震えるだけで、何もできない
●舌の半分は味が分からない
といった症状が現れてきました。
この時点では、バルトレックスを処方して下さった皮膚科医院の先生が、そのまま診察をしてくださっていました。
ただ
「難聴、耳鳴り、体のふらつきといった症状が気になるので、早めに耳鼻科へ行った方がいい」
と勧められます。
しかし、主治医のK先生は学会出張ですぐに診てもらうことはできません。
その間、完全なるご厚意で、今後の症状の予測や、薬の飲み方などアドバイスしてくださった耳鼻科の先生がいらっしゃいました。心より感謝しております。
この先生と、皮膚科医院の先生から、
「麻痺はまだ進みますよ」
「でもそういうものだから、悲観しないようにね」
と聞かされていたので、慌てずに過ごせました。
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【1-4】発音できない音の不思議
たとえば
「た」「ち」「つ」……、「ば」、「だ」「ぢ」「づ」……
このような音を、単独で発音しようとすると、わりと普通にできたように思います。
でも、文章で言おうとすると、呂律が回らない。
↑↑
「でお、ぶんひょうれいおうとするろ、ろれうがまわららい」
こうなるのはどうしてだろう?
人間の筋肉って不思議だと思いましたね。
「顔面神経麻痺」という言葉そのものも、「ん」が発音しづらいので「がうめいしけまい」みたいになるんですね。なんかの怪獣のようです。
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【1-5】K先生の診察
5月21日、ようやくK先生の診察を受けることができます。
「ふゆうさん」
「申し訳ありません」
「いや。ハント症候群でほぼ間違いないと思うけど、麻痺の程度を診せてな」
「いーって言ってみて」
言ってみます。
「次、うーって言える?」
……途中までできるけど、口が途中で緩んでしまいます。
「次、目を閉じてみて」
閉じてみます。
「目の周りは動くね」
「はい」
「右のほうが、口角が上がりにくいね」
「はい」
「口を開けられる?」
……できない。
「ちょっ、ちょっちょっと待って、なんとかして開ける!!」
……できないので、私が両手で口をこじ開けて、先生が舌圧子を入れて診てくださいました。
「次、舌を出してみて」
出してみます。
「ん?」
「ん?」
「麻痺は右側やな?」
「はい」
「おかしいな、左に曲がる」
「え? 変ですか?」
「変だね」
Σ( ̄□ ̄)!!
「両手を上げてみて。一緒に」
上げてみます。
「両手挙上はO.K.」
「関係があるのですか?」
「うん。脳の方の障害とか、万一あったら困るやん?」
「はい」
「聴力は、いつもの結果と変わらないね」
「はい。自分でも、よく聞こえているという気がしました」
「今、どういう感じの症状あるかな? 水は飲める?」
「あの、土曜日までは、食べたもの、飲んだものが口から出てきたけど、土曜日の夕方にはそれがなくなって、逆にしゃべりづらく、上あごとか舌とかが、乾いたみたいになって……」
「……あのな(笑)、しゃべり方が、片言の外国人みたいやな(笑)」
「ははははは(笑)。自分では、初音ミクみたいと思ってるんですけど」
「まぁ、もともとおもろいキャラやからな(笑)」
「なんで、そうなるんですか(笑)?」
「で、いや、あのね……、しゃべるのが、どうしんどい?」
「上あごとか、首とか、そのへんが動かしにくくて」
「……よし、脳のほうが気になるので、やっぱ診てもらおうか」
「脳?」
「うん」
「え、でも、私もともと頭おかしいよ?」
(実際の発音は、「え、れも、わらい、もろもろ、あらまおかしひょ?」のようなもの)
「いや、まぁ、ね。はははははははは、はははははははは」
この後、K先生の爆笑ぶりは半端じゃありませんでした。
この日は、MRIを受ける方が既にたくさんいるとのことで、24日に脳のMRIを撮っていただくことになります。
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【1-6】脳には異常なし
5月24日、脳のMRIを撮影して頂き、結果的には「脳に問題はない」ことがわかります。
MRIはかなりうるさい検査なので、ヘッドホンをしてくださいます。
ここまでは、他の病院でも経験があったのですが、今回はヘッドホンから流れる音楽がとても気持ちよかったです。英語の女性ボーカルで、とても気持ちいい音楽だったので「もう一回聞きたいな」と思っています。
この日はK先生が医院にはいらっしゃらない日なので、I先生が対応してくださいます。
「脳には問題がないです。麻痺は末梢性のもので、水疱ができる症状があったことからも、ハント症候群で間違いないでしょう」
と言ってくださいました。
「いーって言ってみて」
とI先生に言われた通りやってみました。自分では
「前よりちょっと、右の口角が動いてる! 3日経ったから良くなってる!」
と思ったのですが、I先生は
「うーん、あまり動かないね」
とおっしゃいました。がっくし。。。
バルトレックスは、既に十分な量を飲み終わっているということで、ステロイド剤を使っての治療を始めることになります。
おそらくK先生が書いてくださったのであろうメモ用紙、それも細かい字でびっしり書かれたものを、I先生はカルテとオーダリングシステムに手際よく写してくださいました。
それでもずいぶんと時間がかかったので、申し訳なく、ありがたく思います。
なお、ステロイド剤を使うときは「いきなり止めてはいけない」という点に注意しましょう。
どんな薬にも私たちが望む作用とは別に副作用がありますが、多少の副作用なら我慢してステロイド剤を使う方がいい場合もあります。くれぐれも「いきなり止めない」で、先生に相談してください。
私の弟は幼少時、ステロイドが大量に必要になったことがあり、その副作用でムーンフェイスになりましたが、ステロイドを減らすと元の顔に戻りましたよ。
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治癒するまで
【2-0】食べ方の工夫私の場合、口がうまく開かず、また右側で咀嚼することができません。
「食べる・飲む」にあたって、次のような工夫をしました。
●麺類
いわゆる「すする」ことが不可能です。麺をフォークで巻き取ったり、スプーンに乗せたりして食べました。
●大きな食べ物
「前歯で噛み切る」ことが難しいので、事前に箸やナイフで切り分けます。
●コップ
下唇にコップを当てたら、下唇の下から支えるように抑え、こぼれないようにしました。
なお、ペットボトルは口が細くなっているので、麻痺側を使わずに飲むことができました。
●熱い飲み物など
熱いまま飲むと、こぼして火傷をしたら大変です。
少し冷まして飲む・こぼれないように飲むなどの工夫をしました。
●薬(+水)
錠剤は「確実に飲めそう」な分量だけ口に入れ、上を向いたまま水を飲んで流し込みました。
●料理を細かく切ってもらうことはしない
これは、ご家庭の雰囲気や方針にもよるのですが、自分の料理だけに特別の配慮はしてもらいませんでした。
手間暇をかけてもらうのは悪いですし、食材によって「自分の食べられる大きさ」は違います。また、細かく切ることによって風味が損なわれる食べ物もありますので、自分で好きなように切り分けて食べていました。
●硬いものは特に避けない
左側では咀嚼ができるので、硬いものでも顎が痛くならない程度のものは、食べていました。
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【2-1】私を何に活かすつもりで
顔面神経麻痺が起こり始めた16日から、1週間ほど経ちました。
この間に、私は2キロほど痩せました。
食べるのに時間がかかるので、満腹感が早く来てしまいます。
また、水一つ飲むのも不便だし、皮膚が乾いて、指先もひび割れだらけです。
K先生のいうように「片言の外国人のようなしゃべり方」になってしまうので、人前に出ていくのは、不安や抵抗がありました。
でも、神様はまだ、私を生かしています。
これから、私を何に活かすつもりで、生かしているのでしょう?
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【2-2】美容院へ
5月25日は美容院に、予約を入れていました。
しかし、私がゆっくりしか話せないことや、万が一のトラブルがあった場合に、美容院に迷惑をかけてしまうことが不安でした。
予約の3日前に、
「予約をしているけれど、麻痺のことでご迷惑をおかけしそうなら、日を変えたいのですが」
と問い合わせました。
すると
「気にせずに来てください。むしろそんなときって、気分を変えたほうがよくないですか?」
と言って下さったのです。
温かいお言葉を頂き、本当に嬉しかったです。
今回は、今までしなかった髪型に変えてもらうことになりました。 以前から、大きめのロッドで髪の根本から巻くパーマを勧められていたのですが(頭や顔の形をもとに)、なかなか勇気が出ませんでした。
でも、今回は思い切って挑戦です。
↓25日分まで飲み終えました。
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【2-3】今後の予定と私の思い
2013年5月26日の時点で感じていることは、
「いつになったら良くなるかな?」
「いつまで、症状が続くんだろう?」
と思っているとき、自分の中にあるのは「我慢・忍耐」のような気持ちだということです。
「良くなるまで、頑張ればいいんでしょ」
と思えるときは、我慢や忍耐とは違う、何か潔い違う気持ちがあるように思います。
だから、きっと我慢も忍耐も要らない。
必要なのは
「今はこういう状態であって、ここから歩きだすしかない」
ってことを受け入れることですね。
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【2-4】27日の笑顔
前掲の写真と、できるだけ同じように撮影しようとしました(今回は自分撮り)。
口元が左右対称にならず、右(写真に向かって左)の口角が上がっていないことが、お分かり頂けると思います。
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【2-5】28日の笑顔
この日は朝から顔が火照り、熱くなって汗をかくことが続きました。
月経のサイクルとも関係があったのかもしれません。
また、久しぶりに長時間の睡眠を取ることができました。
体質的に睡眠時間が短いほうが調子よく過ごせるのですが、1,2時間で目が覚めてしまうことが続くと、さすがに顔色が悪くなりますし、肩こりなども出てきます。
この日は、目が覚めたら本当の意味での「朝」になっていて、驚きました。
↓28日分まで飲み終えました。
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【2-6】顏が「在る」ということ&29日の笑顔
昨日の夕方から、顔の右側が「じりじり、じりじり」とする非常に不快な感じを覚えていました。変な振動というか、静電気のようなものを浴びているような感じ、と言えばよいでしょうか。
でも、これは「顏がそこに在る」ということなんです。
私にとって、麻痺が始まってからの顔の右側、頬骨より下の部位は「ないもの」だったのです。
「いーって言ってみて」
「うーって言ってみて」
と言われたとき、左側の筋肉は動かすことができますが、それは筋肉が「在る」ということが認識できるからです。
でも、右側は「ない」のです。(私にとって)ない筋肉を動かすことは難しく、頭で考え込むばかりということが続きました。
たとえ不快な感覚であっても「右側の顔が何かを感じている」ということは、そこに顔が在るということの証。ありがたいことですね。
↓29日の笑顔。
少しですが右(写真に向かって左)の口角について、まだ自由には動かせませんが、「ここが口角だ」という認識ができるようになった感じがします。
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【2-7】人と一緒の食事について&30日の笑顔
今、哀しいと思うこと。
それは「人と一緒に食事をすることが、申し訳ない」という気持ちです。
私はいまのところ、フォークやお箸を使って、よく動く左側の口に食べ物を押し込むような形で、食べてしまいます。量的にも少しずつ食べなければならず、時間がかかりますし、残してしまうこともあります。
こういう食べ方は決して気持ちのよいものではありませんよね。
だから、私一人が外食をして、恥ずかしい思いをするのはいいのですが(それでもお店の方には申し訳ないのは承知しています)、誰かと一緒に食事するのは、申し訳なくてまだできないなと思います。
ところで、もう出さないと後がないので、励まして下さい。
郵便のほうが不安になってきたので、インターネットで提出しようかと思います。
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【2-8】覚めたい夢&31日の笑顔
右側の口角がちょっと上がっているように見えませんか?
今日は朝3:30ごろ、ふと目が覚めました。
「祖母が呼んでいるのでは?」
と考えた後、介護をしている当時と同じような、不安感と焦りが沸き上り、布団から飛び起きてしまいます。
このような夢(というのでしょうか?)を見た後はいつも、少し考えてから「もう介護は終わっている」ことに気付きます。そして、いつも冷や汗がいっぱい出て胃が痛くなります。
精神科の先生と、祖父母も含めてよく知っている内科の先生からは、
「そのような状態を、すぐに『治す』というのは難しい」
「数年〜数十年かかるかもしれないけれど、いずれは回数が減っていく」
と言われています。
このような事情により、今日は笑顔が上手くつくれませんでした。
でも、ムリに作った笑顔を見ているだけでも、気分が良くなるのは不思議ですね。
↓31日分まで飲み終えました。
【2-9】口の中の変化&1日の笑顔
今日は、右の顎のラインが動くことをはっきり感じました。
こうやって少しずつ、動く筋肉が増えていくのでしょうね。
昨日は一日中、軽い胃痛と吐き気、心に何か重い塊が詰まっているような感じが続きました。
「そういえば『顏が動かなくなったんです』と、Y先生に助けを求めたのも金曜日の夜だったな」と思い出しました。
Y先生が夜遅くに、親身になってくださったことを思い出すと、心の中の重い塊が溶けていくような気持ちになりました。
さて、今日は楽しみにしていたイベントです!
このイベントの途中から、口の中に奇妙な感じが広がるようになりました。
炭酸飲料を飲んだときや、アイスクリームを食べた後で、口の中にぬくもりが戻ってくるときのような感じが、唐突に口の中に起こります。舌の先のほうと上あごの右側に、そのような感じを数秒、長くても数十秒おぼえた後に、治まってしまうということを繰り返しました。
時々、気になって頬に手を当てると、手の温かさが口の中まで伝わるのがわかり、とても気持ちよかったです。
【2-10】豪快に水浴びでも&2日の笑顔
写真を撮るまで気づかなかったんですが、笑った時、見える歯の本数が増えていますね。
最近は、お茶やコーヒーを「これから、飲もう」と決めて、しっかりコップを持って飲んでいるときに、こぼしてしまうことはなくなりました。
でも
●「掃除や洗濯をして暑かった!」という勢いで飲む
●仕事や家事など、何かしながら適当にコップを持って飲む
などの時は、液体が口を通り越して首から胸元に流れてしまうことがあります。
今日も、大きめのコップに水をくんで「ぷはーっ!!」っと飲もうとしたら、豪快に水浴びをしてしまい、この通りです。
【2-11】手当て&3日の笑顔
夜中3:30ごろに、胃が痛み軽い吐き気がしました。私は除菌ができないタイプのピロリ菌を胃の中に飼ってしまっているようなのです。
ブスコパン2錠を飲んで、腹部にじっと手を当てて、手の温かさが腹部に伝わっていくと、外科のS先生やM先生に、これまでしてもらったことが次々に思い出されました。検査や処置はもちろんですが、様々な話を聞いてもらい、励ましてもらい、慰めてもらってきました。
色んなことを思いだしているうちに、涙がいっぱい出てきて、お腹が温かくなって、もう一度よく眠ることができました。
今回、顔の水疱に気付いたときも「6月に入って、S先生のところへ行く前に治しておかなければ」と思ったのです。しかし、想像の上を行く事態になってしまいました。
↓3日分まで飲み終えました。
Web拍手です
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【2-12】服薬が終わってから
6月4日、K先生の診察を受けました。
ハント症候群の経過を診て頂くことと、外科手術の予定があるため、イソバイドの投薬をお願いしました。
「しゃべり方が……ははははは(笑)」
「どうしました(笑)?」
「普通になってる(笑)」
「なんで、ウケるんですか?」
「前、カタコトの外国人みたいやったもんな」
「はい」
「あの、Y先生が下位脳神経って言葉使われたんですよ」
「あぁ、うんそれ。そこが麻痺してたんやね」
「それで、ちょうど放送大学の授業でやってたとこやったのに、下位脳神経ってなんやったかなってなって、舌咽神経、迷走神経、副神経……」
「……さらに下やったら?」
「舌下神経」
「そう!」
物覚えが悪い自分が情けなくなりますね。
続いて、外科の手術の話をします。
「また、みっともなくなってるかも」
「なんで? 顔、動くようになったやん?」
「乳房、切るから」
「あぁ。でも、顔と違って見せる部位じゃないやん?」
「うん」
「……っていうか、その場合はホームページに画像載せたらあかんで(笑)」
「ははははは(笑)」
「ははははは(笑)。ハント症候群の写真はまぁいいねんけど、普段隠しているような部位を、あえて載せると、変な意味に受け取る人も多いから」
「はい」
これで耳鼻科的には何の心配もなく、入院することができます。
6月6日、精神科の先生が睡眠薬を変更してくださいます。
2,3時間しか睡眠が取れないようでは、入院・手術にも差し障るだろうからと、リスミー1rからロヒプノール1rへの変更となります。
同じ日、婦人科のT先生に診察して頂きます。
「大変やったみたいやな。基礎体温表はつけられた?」
「はい、おかげさまで」
「わりと、普通にしゃべれてるやん」
「はい。あ、写真あります」
このページにも掲載してきた写真を全て、見て頂きます。
「ホンマや。見事にゆがんでる」
「ありがとうございます(笑)」
「発病がいつ?」
「5月16日。あの」
「ん?」
「その日(の午前中)って、循環器のP先生のところへ来たんですよ」
「うん」
「そのとき、全くの普通に話してて」
「うん」
「その夜には、動かへんようになってたんですよ」
この後、日常生活にはほとんど支障がなくなり、次のような症状が残るのみとなっていきます。
●長く会話を続けていると、ろれつが回らないことがある。
●食べること・飲むことに集中していない時に、食べ物・飲み物をこぼすことがある。
乳腺外科への入院・手術の日程が7月中旬に決まり、仕事のスケジュールを調整したり、必要なものを買い揃えたりしながら日々が過ぎてゆきます。
7月4日、循環器内科のP先生の診察と投薬を受けます。
「調子はどうでした?」
「少し悪かったのです。申し訳ありません。理由があって」
「理由? どんな理由?」
●前回、診察していただいた日の夜に、ハント症候群の症状が出始めたこと
●学会の関係でいない先生も多かったこと
●良くなるまで、食べる、飲む、話すということが自由にできず、常に緊張していたこと
●そのため頻脈になりがちだったこと
をお話したところ、P先生は次のようにおっしゃいました。
「それは緊張するわ」
「ありがとうございます」
「それは、心配やったなぁ」
P先生のこの言葉は、本当に嬉しかった。不覚にも泣きそうになるほどでした。これまで、現実的な問題に対処するのに精一杯で、このようないたわりの言葉をしっかりと受け止める余裕が、私自身になかったのでしょう。
ハント症候群の症状が出始めた日も、循環器のP先生の診察でした。そして、この日の診察・投薬で、もともと気になっていた乳腺外科への入院・手術の準備が全て整ったことになります。
この日の記述をもって、ハント症候群の記録にも、区切りをつけさせていただきたく思います。
最後に、2013年9月22日に撮影した写真を掲載します。
ほとんど、表情に歪みがないことを、この写真にてお伝えできればと思います。
※この文章はただの素人が書いたものです。
医学的な面で曖昧な記述があったり、間違っていたりするかもしれません。
実際に治療をして下さっている医師の診断・治療方針をまずは信じて下さい。
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番外編
【3−1】杜仲茶だったことを
私は、コーヒー・紅茶・杜仲茶・緑茶を常備し、その時の気分で選んでいる。
先日、「なんか物足りないコーヒーだな」と思い牛乳を入れた。
すると、二度と飲みたくないようなとんでもない味に!
慌てて牛乳がいたんでいないか確認するが、大丈夫な様子だ。
ではこれが「麻痺側の舌の味覚がなくなる」という症状だろうか?
しかし「なくなる」のと「混乱・錯乱する」のとは違うとも思う。
そして、私は思い出した。
そもそも、コップに入れたのはコーヒーではなく、杜仲茶だったことを。
【3−2】写真の撮り方
友人が「顔のゆがみを気にしなくていい写真の撮り方」を教えてくれました。
確かに、これだとゆがみは気になりませんね。
それ以前に別人のような雰囲気になってて驚きました。
【3−3】よろしければ「50音ボード」をお使いください
私が、メニエール病患者として経験した、
「会話の相手が話し出すとき、初めの1音が聞き取りづらい」
「初めの音さえ聞き取れたら、もっとスムーズにコミュニケーションが取れるのに」
という思い。
私は「50音ボード」を用意して、文字の指さし確認をすることで、この辛さを解消しようと考えました。
■携帯に便利な50音ボードの作り方
http://fuyuugoout.web.fc2.com/op/mimi/50on.html
ふと気づいたのですが、ハント症候群でろれつが回らないとき、この50音ボードで発音しにくい音を補うといいですね。もっと早く気付いておけばよかったなぁ。。。
【3−4】他サイトの情報との相互補完関係について
このページに掲載している情報と「乳腺外科の手術を受けた話」の内容は、相互に補完しあう関係にあります。
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