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内リンパ嚢開放術の適応とならない場合

K先生に教えていただきました。

■内リンパ嚢開放術の適応とならない場合とは、どんな場合でしょうか?

1.高齢者や合併症のある方に対しては、全身麻酔の手術治療は慎重になります。メニエール病では死にませんが、メニエール病の手術で全身麻酔が脳や心臓の負担となり、命にかかわるようなことになれば困りますので。

2.唯一聴耳つまり片方が全く聴こえない方の、残された良い方の耳がメニエール病になったときに、良い方の耳を手術するのは慎重になります。手術によって数%でも聴力が悪化する可能性があるからです。

しかし、1も2も慎重に対処法を考えるということで、手術をしてはいけないという条件ではないと考えてます。

あと手術治療を選択するのに慎重になる場合とは、患者さんがあまりにも手術結果に厳しい条件を付ける場合です。たとえば、絶対にめまいが再発しないようにしてくれとか、聴力を絶対に上げてくれとか。

ですから、メニエール病患者さんにあなたは手術適応外です、というケースは非常に珍しいことです。

・・・ありがとうございます。勉強になりました。


■ここからは、私の個人的な考えなので、興味のある方だけお読み下さい。

当方へいたただくお問合せで「□□さんが、△△と言って・書いているけれど、本当ですか?」というものがあります。一人の意見だけではなく、多くの方の意見を聞いて、物事を決めようという姿勢は、とても良いことだと思います。

ただ、情報を得ることには、弊害もあることは知っておいて頂きたいのです。

■人間には「知りたい情報だけを知ろうとする」という特性があります。

「内リンパ嚢開放術を受けて、メニエール病をすっきり治したい!!」と思っているときには、「内リンパ嚢開放術によって、めまい発作がすっきり治った」「難聴の進行を止められた」「仕事に復帰できた」・・・、などの「自分に都合の良い、知りたい情報」だけに目が行ってしまうことがあります。

しかし、残念ながら「100パーセント絶対に成功する手術」というのはありませんので、リスクについても理解しておく必要はあります。

逆に「内リンパ嚢開放術を勧められたが、怖くて受けたくない」という人もいます。その場合には「手術を受けたが効果がなかった」「メニエール病が再発してしまった」という情報を中心に集めてしまいがちなのです。

このように「自分に都合のいい情報だけを集めようとしてしまう」という人間の特性について、理解しておく必要があるでしょう。

■人間には「見たいものだけを見ようとする」特性があります。

「イソバイドを飲んでも、めまいが止まらない」としても、すぐに内リンパ嚢開放術を受けるのがいいかどうかは、わかりません。イソバイドの増量や、他の内服薬との併用や、薬を続けていくことで改善するケースもあるからです。

にもかかわらず「手術を受けたい」という結論が先にあると、現状を正しく認識できなくなります。めまい発作が起こるたびに「ほらやっぱり良くなっていない」と思ってしまう、「発作が起こってない期間もある」ことに、目が向かなくなってしまうとしたら、非常にもったいない話だと思います。

逆に「手術を受けたくない」という結論が先にあると、「手術以外の治療法で、なんとか効果を得なければならない」と必死になってしまいます。「手術を受けなくても良い理由」を探し出して、時間稼ぎを重ねた結果、取り返しがつかないほどメニエール病を悪化させては、元も子もありません。

■目標と手段を間違えないようにしましょう。

私たちの最終目標は「メニエール病を寛解させて、生活に支障をきたさない状態に持って行くこと」で、内服治療や手術はそのための手段です。「治療を受けること」がゴールではなく、新しい生活に入るためのスタートであるはずです。

K先生が以前に教えてくださった言葉を、繰り返しておきます。

メニエール病の8割は内服・生活指導・心理状態の改善などで治る。
治らなかった2割のうち8割が、内リンパ嚢開放術などの外科的治療法で治る。



また、私が心がけていることに、「一知半解知らずに劣れり、と自覚する」ということがあります。耳のホームページにも書いてありますが、再掲しておきます。

http://fuyuugoout.web.fc2.com/op/10.html より
■「一知半解知らずに劣れり」と自覚する
メニエール病のことを知りたければ、インターネットで簡単に調べられる時代です。自分の病について「正しく」理解するのは、重要なことです。
ただし、メニエール病というのは、専門家たちが何年も研究を重ねて、それでも「わからない・・・」という部分が多い病です。素人が、パソコンの前で数時間、格闘したくらいで「知ることができる」のは、ホンの一部です。あるいは偏った情報である可能性もあります。
過剰な恐怖心を持ったり、怪しげな治療法に過大な期待を持ったりすることは、治癒を遅らせます。 「一知半解知らずに劣れり」を心しておきましょう。


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