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メニエール病と気分の落ち込み

素人があれこれ考えただけですので、医学的な部分で誤りがあるかもしれません。

このところ「メニエール病とうつ」について、お問い合わせが続いています。

ここから書く内容は「医学的にどうすればいいか」という話ではなく、「患者・素人として、日常生活の上で『私は』どう対処しているか」というものです。御参考にとどめて下さい。

なお「うつ」という言葉には「うつ病」「うつ状態」をはじめ色々な意味が含まれます。混乱を防ぐため、このページでは「気分の落ち込み」と表現します。

今の思考をいったん止める
近隣の医院の情報を調べる
女性の場合、月経前緊張症・月経前不機嫌性障害・更年期障害について考慮する
「思う」ことと「行動に移すこと」の違い
「気分は落ち込むものだ」と考えておく
「数分ルール」でやり過ごす
先生に伝えることを「数分ルール適用」の上で整理する
気分が落ち込んでいるときに、避けるべきこと
「存在すること」にはきっと意味がある
最後に
参考書籍、サイト

今の思考をいったん止める

メニエール病やうつという言葉で検索していて、このページにたどり着いたという方は、おそらく
「今、何かを考えているが、その考えでは解決できない」
ために、ネット上の情報を検索されているのではないでしょうか?

まず、数分でいいので、ご自身を「今の思考」から解放してください。このページを読み終わるまで、2時間も3時間もかかりません。数分後に、続きを考えて下さればいいのですから。

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近隣の医院の情報を調べる

心療内科や精神科は、初診の予約を取るだけでも大変な時代です。診察を受けるまで1か月待ちというケースもあります。そのため、まずは近隣の医院・病院の情報を調べて下さい。

●診療時間はいつか?
●初診の予約はどうやってするか?
これを具体的に知り、「相談できる場がある」と実感するだけでも、気持ちが楽になります。

心身のつらさが切迫したものであるなら、まずは初診の予約を入れて下さい。メニエール病と関連して、あるいはメニエール病とは別に、うつ病、双極性障害、統合失調症など、治療が必要な病気にかかることは有り得ます。まず、そういった病気の可能性について、診断して頂くことが大切でしょう。

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女性の場合、月経前緊張症・月経前不機嫌性障害・更年期障害について考慮する

女性特有のホルモンバランスの変化によって、気分が落ち込むということはあります。女性ホルモンの影響かどうか判断するには「基礎体温表をつける」。これに尽きます。
無料の基礎体温表ありますよ → http://fuyuugoout.web.fc2.com/op/taion.html

基礎体温を付けるのが無理であれば、手帳でもいいので「月経の間だけ、日付けに丸印をつける」などの方法で、月経周期を把握してください。

それに加えて、体調や気分の変化も書いておけば、月経周期と気分の関連が分かります。「気分が落ち込んでいて、私なんかダメだ」という思考が止まらなくなることと、「気分が落ち込んでいるけれど、これは女性ホルモンの影響なんだ」と思えることは雲泥の差があります。

あまりにも、気分の落ち込みがひどく、日常生活に支障が出ているなら、産婦人科を受診しましょう。近隣の医院・病院の情報を調べて下さい。

なお、月経前緊張症・月経前不機嫌性障害にはホルモン剤(OC、黄体ホルモン剤)の他に、抗うつ剤(SSRI)を用いた治療が有効な場合もあります。

昔、婦人科のT先生に、
「精神科の先生が、SSRIを黄体期だけ飲むようにしたら、PMSやPMDDが軽くなるって言ってはった!」
と、得たばかりの知識を自慢げに披露したことがあります。そのためにお薬マニアのレッテルを貼られた私の人生はいばらの道へ(/_T)……

いえ、嘆くのは後でもできます。今は話を進めましょう。

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「思う」ことと「行動に移すこと」の違い

さて、医院・病院に予約を入れても、実際に受診できるまでにはタイムラグが生じます。「今は受診する決断ができない」という人もいるでしょう。

医師の診察を受けるまで、どのようにやり過ごせばいいでしょうか?

「実際に医師のもとを受診する」ことと、「受診したい」と思うことには、大きな違いがありますよね?
行動に移そうとすれば、「未知の医院・病院に電話を掛ける」「実際に電車やバスにのったりして出かける」という様々な手続きや行動が必要になります。しかし「受診したい」と思うだけなら自由です。

また、仮に「しにたい」と思ったとします。しかし、「しぬ」という行動に移すことと、単に思うことには雲泥の差があります。

こう考えると「気分が落ち込む」だけなら、それは別に良いように思えてきませんか?

落ち込んだ気分を自分の中だけにとどめておけるか、それとも行動に出してしまうか、ということで、後に残る問題の大きさは変わってきます。

うつ病や統合失調症にかかった場合に、治療が必要な理由は「自殺をはじめとする重大な帰結を招くことがある」からです。そのため、気分の落ち込みがあまりにひどいなら、医師の診察を受けましょう。

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「気分は落ち込むものだ」と考えておく

「気分が落ち込む」と悩んでいる方は、ご自身の中に
「気分が落ち込むべきではない
「常に、元気いっぱいで明るく前向きに過ごさなければならない
という思いがありませんか?

でも、人生にはつらいことがあったり、体調が悪くなることだってあります。そのような時、ショックを受けない人間などいません。

メニエール病にかかった場合は「病気ですよ」と告げられるショックと、「いつ治るかわからない」という不安にさいなまれる毎日が待っているのです。落ち込んで当然です。
初めから「人間はショックを受けるものだ」「気分は落ち込むものだ」と思っているなら、そこまで自分を責めなくて済みます。

そして「気分が落ち込んだ時に、どうするか」を考えられるようになるのです。

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「数分ルール」でやり過ごす

メニエール病そのものに対する悩みだけではなく、仕事や家事など「しなければならないことが、十分できない」という思いが、気分を落ち込ませているという方もいるでしょう。

でも「しなければならないこと」がハッキリしているほうが楽です。なぜならば「それ以外の時間はどうでもよい」からです。

私の経験談をお話しします。
メニエール病が再発したとき、耳鼻科のY先生に診て頂いていました。その頃は、身内との死別といった事情が重なり、心身の調子も、自分の人生も「どうでもよい」という心境になっていました。Y先生の診察すらも、
「診察に何時間もかかるわけじゃない。Y先生と話す数分間だけ、うまくやればいい
と思うことで、なんとか受診しているという状況でした。

「数分間だけ、うまくやればいい」という考えは、私の気持ちを非常に楽にしてくれました。掃除でも洗濯でも、あるいは仕事でも、数時間単位で考える必要はないのだと気付かされました。

たとえば掃除をするならば、
「家一軒をきれいに磨き上げよう」
と初めから考えるのではなく、
「今日は、この部屋だけをきれいにしよう(他の部屋は、とりあえずどうでもよい)
「今から数分間だけ、掃除機をかけよう(他の時間は、とりあえずどうでもよい)
と考えると、楽になりますね。もし、自分で決めた範囲で掃除をやってみて、余力があるなら、改めて別の部屋も掃除すればよいのです。

これを「数分ルール」と呼ぶことにします。

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先生に伝えることを「数分ルール適用」の上で整理する

初めて病院に行くときは、問診票を書かなければなりません。また、かかりつけの先生にも、診察の椅子に座るだけではなく、症状がどうであったか、伝えることが診察の始まりです。

スムーズに書く・伝えることができるよう、情報を整理しましょう。特に必要な情報は次の通りです。
●どのような症状が出ているか?(痛い、吐き気がする、熱が出る、極度の不安……)
●どの程度の症状が出ているか?(痛いなら「冷や汗が出るほど」「鈍い痛み」……など)
●どの部位に症状が出ているか?(手、足、腹部……、心の中でもかまいません)
●いつから症状が続いているか?(3日前、1か月前、あるいは短時間で治まるが繰り返す……など)
●症状が出るために、どう困っているか?(会社・学校にいけない、今まで通り仕事ができない……)
●「もっともつらい症状」に伴う、他の症状はあるか?
●他の医師に治療、投薬を受けているならその内容
●身内・親類に似たような症状を出した人、大病をした人がいるか?

なお、耳鼻科の先生をはじめ「めまい」について診察して下さる先生に、めまいの状態を伝える場合は、必ず
「景色が回転するタイプのめまい(回転性めまい)だったか、体がふらふらとしてバランスがとれなくなるタイプのめまいだったか」
を伝える
ようにしましょう!
先生が診断をする上で、非常に重要な情報です。

ただし、ここでも「数分ルール」を適用します。気分が落ち込んでいるときに、ダラダラと考え続けると、ろくなことはありません。あくまでも、症状のメモ・他の病院での治療状況のメモなどを、数分以内で書くということにします。

もし、書ききれなかった場合にも、いったん書く行為を止めましょう。後に改めて数分ルールを適用しながら書けばよいのです。

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気分が落ち込んでいるときに、避けるべきこと

気分が落ち込んでいるときには、重大な決断は避けましょう。

「重大な」の範囲がどのようなものか、あるいは、いつまで避けるべきかということは、人によって違います。ただ、私個人としては、次のような決断は、精神的に落ち着いている時にすべきだと思います。
●就職・転職・退職
●現在の1か月の支出のうち最も大きな金額(家賃等)を超える買い物
●団体・サークルへの加入・脱退
●結婚・離婚・恋人との関係を変化させること
●冠婚葬祭への参加・不参加の意思を変えること
 (いったん決めた参加・不参加の意思をころころと変えないようにする)

また、落ち込んだ気分を変える「だけ」のために買い物・旅行・飲酒をすると、深みにはまる可能性がありますので、注意しましょう。

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「存在すること」にはきっと意味がある

一度も立ち寄ったことのない店なのに、ある日、閉店の貼り紙を見つけて、なぜかさびしい気持ちになる。そんな経験をお持ちの方も多いでしょう。

一見、自分の生活とは関係のない存在でも、なくなればさびしくなるのです。自分の生活と関係のあるお店なら、さびしいだけじゃなく、生活上の様々な不自由を感じ、「もっと営業を続えけて欲しかった」と切実に思うことでしょう。

「しにたい」という思いが沸き上るとき、
「自分が存在しなくても、誰も困らない」
「自分が存在することは、誰かの迷惑になる」
といった思いがあるかもしれません。

でも、あなたが存在し続けることには、きっと意味があります。
少なくとも、この文章を書いている私にとって
「あなたが、この文章を読んでくれた」
ということには、意味があるのです。

しぬことは、いつでもできます。
ご自身で「自分が存在する意味」を見つけてからでも、いいのではないでしょうか?

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最後に

この文章を書いている私も、気分は落ち込みやすいほうです。ここしばらく私を悩ませている内臓の痛みは、私の精神力を少しずつ削り取り、「しにたい」と思わせてくれることもしばしばです。

しかし、その度にやり過ごすことができたから、今があります。

「やり過ごす」ことに付き合ってくれたK先生、そして多くの皆さんに感謝して、この文章を締めくくりたいと思います。ありがとうございました。

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参考書籍、サイト

1.平井孝男著『難治例と絶望感の治療ポイント』創元社、2008年
2.春日武彦:文、吉野朔美:漫画『精神のけもの道』アスペクト、2008年
3.柴山雅俊著『解離性障害―――「うしろに誰かいる」の精神病理』ちくま新書、2007年
4.岩波明著『心に狂いが生じるとき―精神科医の症例報告』新潮文庫、2011年
5.植西聰著『「求めない」ほどうまくいく 天にまかせる! 47の成功法則』RHブックスプラス、2012年
6.『メンタルヘルスネット』 http://www.mh-net.com/、2014年1月11日
7.日本産婦人科学会ホームページ『病気を知ろう』http://www.jsog.or.jp/public/knowledge/index.html、2014年1月11日

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