メニエール病患者の近くにいる人の悩みについて
素人があれこれ考えただけですので、医学的な部分で誤りがあるかもしれません。
当ホームページに、次のようなお問合せをいただくことが増えました。
「家族がメニエール病になったが、家族としてできることは何ですか?」
「友人・恋人がメニエール病になり、どう声をかけていいかわかりません」
個々のケースについて、お話をきちんとお伺いし、ご一緒に対策を考えることができれば、私としても嬉しいのですが、私1人の力ではリアルタイムなお返事ができず、行き届かないでいることを、まずお詫び申し上げます。
1つの提案ですが、下記の流れに沿って「どうすればいいか」を見つけるのはいかがでしょうか?
今まで患者本人が果たしていた役割をリストアップする
家族であれば、
・料理
・掃除
・洗濯
・働いて報酬を得る
・子育て
・犬の散歩、猫の世話
・家庭菜園の世話
などが考えられます。
恋人、友人なら、次のような内容が考えられるでしょうか?
・一緒に映画を観る
・一緒にスポーツをする
・電話で長話をする
・メールやLINEで話す
・婚約段階に進んでいて、結婚式場を探すなどが始まっている
「今後もできること」「今後はできなくなること」を分類する
分類するにあたり、めまい・難聴・耳鳴り・吐き気などの強さや頻度も考慮する必要がありますが、本人の性格・希望も無視してはいけないと思います。
たとえば「長時間、台所に立って、やや下向き加減で料理を続けることはしんどい」という人もいます。
しかし「料理をすることが生きがいで、何としてでも続けたい」という人も中にはいますので、症状だけではなく、本人の希望も考慮することが大事でしょう。
「今後はできなくなること」の代替手段を考える
たとえば、料理や掃除は「具合が悪いときは、家族の誰かが代わりにする」という曖昧な決め方では不十分です。
メニエール病患者は几帳面な人が多いと言われているので、次のようにしっかりと枠組みを決めてしまうほうが、患者本人も安心ではないでしょうか?
・週に何回までは、誰某が交代する
・それ以上は、お惣菜を買ったり、掃除をしない日があっても良い
子育てや犬猫の世話など「待ったなし」の部分については、とりあえずご実家のご両親や近所の人の手を借りてもいいでしょう。
ただし「期限付きで手を借りる」という考えが大事です。
「2週間以内に、今後の段取りを考えるので、その間だけ助けてほしい」
とお願いするほうが
「治るまで、手伝ってほしい」
という曖昧なお願いより、患者本人としては安心かもしれません。
お願いした期限が来るまでに、
・家事代行サービスの利用
・手伝ってくれる人にきちんとお礼を支払って、これからも助けてもらう
など、今後のやり方を考えるのはいかがでしょうか?
「できることが残っている」ことを確認する
最後に、ぜひとも確認していただきたいのは「できることが残っている」ということです。
たとえば、めまいがひどければ、犬の散歩には行けないかもしれませんが、心配そうに覗き込む犬を撫で、安心させてやることはできます。
愛する恋人と一緒に映画やテーマパークには行けないかもしれませんが、ゆっくりと横になれる自宅で、一緒に字幕付きのDVDを観て楽しむことはできます。
患者と周りの人の双方が「できることは残っている」ことを確認し、安心するという作業を、必ず取り入れていただきたく思います。
おわりに……「巻き込まれ」に注意を!……
私にとって、2014年は海との関わりが強くなった年でした。
現在はボートスクールに通い、一級小型船舶操縦士の免許取得を目指している途中です。
海に行くと、強く感じることがあります。
「もしも落水したり、ボートのエンジントラブルが起こったりした場合、他人が助けてくれるのを待っていては、死んでしまう」
だからこそ、海での交通ルールを知り、ボートの構造やエンジンについて知り、さらには天候などの条件も読めるようになり……と、様々な勉強を自らしていかなければなりません。
メニエール病についても、似たことが言えるかもしれません。
患者本人が「自分でできることは、自分でしよう」という気持ちがなければ、周囲の手助けは全て空回りや、甘やかしに終わってしまうということもあります。
どうぞ周囲の方は、ご自分の生活を大切にされて、患者のメニエール病に巻き込まれないようにしてください。
患者本人の甘えがあまりに強いと思う時は、
「メニエール病は大変だと思うけれど、私が巻き込まれなければならない理由はないんだ」
とはっきり告げてしまうことも、時には必要かもしれませんね。
2014年10月21日記す
素人があれこれ考えただけですので、医学的な部分で誤りがあるかもしれません。