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半魚人(人魚)について(暫定版)
半魚人や、人魚を、養殖する、というストーリーを読んでいて「どの段階で完成とするか」は、なんで決まるんだろう、と疑問に思った。解明したから、何か役に立つ、という話ではないけれど、考えたくなった。
どの段階で「完成」と考えるか?
人間から、半魚人に変わるのは、おおよそ、四段階に分けられる。
第一段階・・・衣食住の習慣が変わる。魚を生で食べる、水風呂に長時間浸かる。
第二段階・・・外見が変わる。皮膚がうろこで覆われる。
第三段階・・・人間だったときの記憶があいまいになる。
第四段階・・・誰を仲間だと思うか? あるいは、人間に戻るのが、幸せだと思うかどうか?
第一段階
第二段階
第三段階
第四段階
ここに到達するときは、「物語」として、クライマックスを迎えている段階でもあるので、半魚人をツールとして使うことで、何を語りたいか、によって、大きく二つに分けられる。
物語として「愛し合っている」と終わらせたい場合、「愛によって、人間に戻りました」というのと「愛とは、人間だけのものではなく、他の動物とでも、ありえる」とか、語りたい場合とは、まったく違う。
「強い愛」を描きたいのなら、半魚人でなくても、かまわない。「白鳥の湖」や、広い意味では「眠りの森の美女」「白雪姫」なども、「人間、元の生活に戻すほど、強い愛」という話である。
では、「愛しているなら、相手が半魚人であってもよい」ということを語りたい場合には、いきなり完成形の半魚人が登場する場合もあるし、人間にめちゃくちゃ近く(言葉が話せないくらいの違い)、人間の手伝いをしている半魚人もいる。
他のものと比べる
キメラ
キメラと言われるものとして、ライガーとタイゴン(ライオンとトラ、雄が先、雌が後に呼ばれる)、ラバとヒニー(馬とロバ)などがある。
半魚人と似ているところは、人間の都合で作られた、という点だ。
違うところは、私が「半魚人」と考え、調べているものは、「変化する期間」が存在する、とういこと。生まれてから、半魚人になるまでは、人間か魚か、どっちかであった期間があり、変化の期間を経て、半魚人になる。キメラは、生まれつき、キメラとして、生まれてくる点が異なる。
わざわざ半魚人を作る理由
優秀なダイバーではいけない
「海底資源を採掘するためなら、長時間、潜水できるような改造人間を作ってはいけないの?」という疑問がわいた。
しかし、これはいけない、と気付いた。
なぜなら、「自分は人間だが、長期間潜水できる能力がある」という自信を持っていることは、簡単に反乱を起こせるということだからだ。雇い主を海に引きずり込み、水中にずっと沈めておくだけで、反乱、終わり。自分の天下となる。
海水にすむ理由
半魚人に、川、海のどちらに住んでもらったほうが、都合がいいか。これは、海である。
多分、川の資源を採掘する程度のことなら、人間がやったほうが、研究開発費がかからなくて良い。深海に潜るほど、危険でもない。
淡水、海水のどちらでも、生活できる魚は、ウナギ、ボラ、スズキなどに限られる。
魚は、体内の塩分の調整を、えらの細胞で行っている。川の水は、塩分濃度が低いので、放っておけば、体内にどんどん水を取り込んでしまう。そこで、えらの細胞で水を取り込まないように、調整している。逆に、海水は、塩分濃度が高いので、放っておけば、体内から水が、外へどんどん出てしまうので、えらの細胞で調整する。
ほとんどの魚は、水を取り込まない機能か、取り込む機能か、どちらか一方の機能しか持っていないので、淡水と海水で言えば、どちらか一方にしか住めない。
ただし、魚の生理的食塩水の中では、海水魚も淡水魚も、生活できる。
水浴びの不思議
ひとつ疑問に思ったのだが、半魚人へと変わっていく過程で、「水の中のほうが落ち着く」と言って、水風呂に長時間浸かっているとか、水道水で水浴びをする、というシーンが出てくる。
半魚人は、海水に住むということとは、矛盾するように見える。
もしかして、魚の生理的食塩水と、水道水の濃度は、一致するのだろうか?
魚の生理的食塩水は、塩化ナトリウム7.5g/l、塩化カリウム0.2g/l、塩化カルシウム0.2g/l、ブドウ糖0.2g/l。
水道水の、関係のありそうなものの濃度は、「水道水基準」によると、アルミニウム及びその化合物200mg/l、塩化物イオン200gm/l。
一致しないようだ。
(以下、考え中)
参考文献
由貴香織里『ルードヴィッヒ革命』(白泉社、2004年6月)
TONO『博士の魚たち+薫さんの帰郷』(朝日ソノラマ、2004年)
光原伸『アウターゾーン(第109話)』(集英社、2005年9月)
高階良子『終わりのない夜(高階良子ホラーワールド(1))』(朝日ソノラマ、2005年8月)
高階良子『妖かしの密林(高階良子ホラーワールド(2))』(朝日ソノラマ、2005年9)
池田理代子、池田悦子『妖子』(中央公論新社、2005年11月)
川原 由美子『観用少女』(朝日ソノラマ、2001年8月)
ALI"CREATURES SHOWCASE " http://www1.odn.ne.jp/~aac65140/masks/gillman.htm、2005年12月31日アクセス